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映画『永遠の0』 ジレンマを背負った大ヒット反戦映画

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映画『永遠の0』

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この空に願う、未来――壮大な愛の物語。

大人気作家の意図とは別に、感動的な反戦映画

宮崎駿監督が『風立ちぬ』を公開した後の雑誌のインタビューに
「今、零戦の映画企画があるらしいけど、それは嘘八百を書いた架空戦記をもとにして、零戦の夢物語をつくろうとしてるんです」
と答えています、時期的に『永遠の0』の事を指しているのかな?と思ったりもして。
でも、宮崎駿監督に聞いてみたい、『風立ちぬ』とこの作品の立ち位置は違うのですか?と。
私には一緒に見えました。
この作品を見て改めて思ったのは、第二次世界大戦以前の日本人の中には、死と言うのもが身近に有って、常に「死の覚悟」を持って生きていた
それが時として人を凛と見せていたのかも、と。
例えば「坂の上の雲」の秋山真之だったり。
この作品も『風立ちぬ』も死を身近に感じることで、生の大切さを感じ平和への希望・切望生き続けることの大切さを描いていると。

今回、山崎貴監督は徹底的なリアリティを追求してVFXの制作を行っている。
もちろん零戦に関しても、その運用も開戦時の圧倒的な有利から、一転してアメリカの圧倒的な技術力・工業力の前に次々と落とされていく零戦、特攻すら敵艦船にたどり着けない。

ラストの岡田准一さん演じる宮部久蔵の爽やかな笑顔が、死を覚悟した潔さ「生」を繋げることの出来た爽やかさに写り、溢れる涙を抑える事が出来なかった。
堀越二郎も、自ら作った零戦が多くの人々の命を奪った事を後世に語りつなければと「生きねば!」と考えた。
平和にどんよりと浸った平和ボケの人間が、集団的自衛権、国防軍だと叫んでいる。
今大切な事は70年前に起きた戦争を正しく後世に子孫に伝えて行くこと「正しい戦争」なんて無いことを。

作品では、宮部久蔵が何故?特攻を選んだか描かれていません。
私個人の思いは・・・
戦争は前線から一番遠いところで決まり、指示・指揮される。
前線は、その悲劇を一身に背負い、それを見送るしかない。
宮部は自ら身を特攻に委ねることで、次の時代に残せる「想い」が有ると考えたのではないだろうか・・・・

2015年2月に同じ原作の7時間版のテレビドラマを見た、テレビ東京の50周年記念作品らしい。
原作は一部を斜め読みしただけだが、きっとこれが原作に忠実なんだと思う。
孫の年齢が少し高くなっている、それと現代の姉の恋愛の話が有ったりする、あと宮部久蔵の関係者がこっちの方が多かった。
映画の方がシンプルにまとめられていて、脚本は上手いなぁ〜と思う。
おばあちゃんのマツノがヤクザから助けられたのがドラマでは偶然だったことが明確になってるが、映画の方は偶然か必然だったのか?明確にせずに、どちらかと言うと必然と感じさせている。
一番の違いは、宮部久蔵の弾を避ける操縦法を映画では描いてる点で、これはテレビ版にはない、これは有った方が良かったと思う点。
結局のところ、特攻がこの時代の人にとってどういうものだったか?と言う一点で、宮部久蔵の物語だが、映画版ではそこに話を集約して描くのに対して、原作・TV版は反戦的な意味合いと共に、戦争へ行った英霊達への賛歌でもある気がする
その辺が、この作品に対する賛否なんだろうけど・・・
特に、特攻から生き残って事業家として成功した老人が、新聞社のチーフ(?姉に仕事を依頼するフィアンセ役)が、特攻とテロの相違について言い合うシーンなんかはそれだと思う。
映画版では学生達の言い合いでしかなく、どちらに正解が有るかは不明にしている。
極論を言うとテレビ版・原作では、A級戦犯を否定しておらず、悲しみながらもお国のために死んで行った・・・と言う体をとっている。
一方で映画版はテロ的な背景・宗教による洗脳=日本軍部による国民の洗脳が有ったとする、一般的な意見を若者に言わせている。
まぁ~原作ではA級戦犯だけではなく、それを煽った新聞社や世論も有るでは無いか!と言うことなんだろうけど。
実際に行った人たちがどれだけ辛い思い、家族への想いを残して、お国のために立ったのか・・・と。

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『永遠の0』の何が問題なのか?

『永遠の0』の何が問題なのか?冷泉彰彦氏の批評が有ります。

「重たいジレンマ」を描かず、どちらかと言うと同一視してしまう物語になっている点、その象徴として零戦を描いている点で、冒頭の宮﨑駿監督の言葉の意味を代弁している気がする。
ただ個人的に、この作品を見て、特攻を肯定したり、英霊賛美に繋がり靖国参拝をしたくなるか?と言うと私はそうは思わなかった、感じなかった。
むしろ先祖の墓前に頭を垂れる想いしか起きなかった。

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私的『永遠の0』

① テーマが有るか?共感できるか?

日本は戦後70年が過ぎた、もう2度と戦前が来て欲しくはない。
愛する“人”を守るために戦いに行った、死にに行った人がいる、しかしそれはお国のためではなく大事な“人”のために捧げた人生だった。
しかし戦争は悲劇でしかない、愛する人たちのために殺し合いをしなくてはならないのだから

② 作り手の強い意思を感じるか?

戦争映画は金だけ掛かって儲からない、ヒットしないと言う日本映画の定説が有るらしい。
そこをあえてヒットメーカーの山崎貴監督×ベストセラー作家・百田尚樹の組み合わせで挑戦。
戦闘シーンに関しては、徹底したVFXを駆使して再現、岡田准一の演技を引き出していたのは思いの強さだと思う。

③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

この作品の俳優陣は素晴らしかった、岡田准一の正義のための戦争がないことから心が壊れていく姿も印象的。
景浦を演じた新井浩文・田中泯の二人の存在感が良かったし、これが遺作となった夏八木勲の想いも良かった。

④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

戦争映画としてここまで映像化に成功した作品はない。
『ALWAYS 三丁目の夕日』でも成功したVFXをリアリティのために使った山崎貴監督の執念すら感じる、とてもスケールの大きな作品としても成功している。

⑤ エンターテイメント性

反戦映画でありながら、ドラマで見せる、映像で見せるところは山崎貴監督らしい出来。
零戦を再現して作ってしまうことと同時に、戦争後半はアメリカの戦闘機に対抗できない旧型で有る点もしっかり描かれていた。

⑥ 演出が素晴らしいか?

山崎貴監督らしい堅実な演出、リアリティを追求するために自然なVFXの使い方は流石。
岡田准一と井上真央の夫婦、染谷将太が絡んで行くところの恋愛パートと、戦場での男の友情のパートもしっかり描かれていて見応えがあった。
一方、ラストの回想シーンや現代を零戦が飛ぶシーンは、山崎貴監督らしいやり過ぎのところも。

⑦ 脚本が素晴らしいか?

原作の長編から取捨選択して、英霊賛美から反戦映画になっていたと言う点では良かったと思う。

⑧何度も見たくなるか?

反戦映画でありながら、それが愛する“人”のために、と言う判りやすいテーマで若い人にも見やすい
戦争は嫌いだけど、零戦や大和、空母などの兵器が好きと言う男の子の夢を見事に映像化している点でも、何度も見たくなるほどの面白さと完成度を持った作品。

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映画『永遠の0』のデータ

上映時間■144分
製作国■日本
公開情報■劇場公開(東宝)
初公開年月■2013/12/21
監督■山崎貴
原作■百田尚樹 「永遠の0」(太田出版刊)
脚本■山崎貴/林民夫
主題歌■サザンオールスターズ 『蛍』
VFX■山崎貴
出演■岡田准一/三浦春馬/井上真央/濱田岳/新井浩文/染谷将太/三浦貴大/吹石一恵/田中泯/山本學/平幹二朗/橋爪功/夏八木勲

■日本アカデミー賞2014年
作品賞
主演男優賞 岡田准一
助演男優賞ノミネート 三浦春馬
監督賞 山崎貴
脚本賞ノミネート 山崎貴/林民夫

オフィシャルサイトはこちらから

【解説】
 放送作家として活躍する一方、小説でもヒットを連発する百田尚樹のデビュー作にして一大ベストセラーとなった同名小説を「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴監督が映画化した戦争ドラマ。現代の青年が、零戦パイロットだった祖父の戦死の謎を調べようとかつての戦友のもとを訪ね歩く中で、戦争の不条理と向き合っていく姿を描く。出演は零戦パイロットの青年・宮部久蔵に岡田准一、その妻・松乃に井上真央、そして2人の孫で調査を進める青年・佐伯健太郎に三浦春馬。
 司法試験に落ちて進路に迷う青年、佐伯健太郎。ある日、今の祖父とは血のつながりがなく、血縁上の祖父が別にいることを知る。その実の祖父の名は、宮部久蔵。太平洋戦争で零戦パイロットとして戦い、終戦直前に特攻出撃により戦死していた。そこで宮部について調べ始めてみると、かつての戦友はみな口を揃えて宮部を臆病者と非難した。天才的な操縦技術を持ちながら、生きて還ることに執着した腰抜けだと言うのだった。にもかかわらず、なぜ宮部は特攻に志願したのか。やがて、ついに宮部の最期を知る人物に辿り着く健太郎だが…。映画データベース - allcinema より

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