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映画『風と共に去りぬ』 ハリウッド映画史に残る不朽名作を語ってみる

映画『風と共に去りぬ』 GONE WITH THE WIND

風と共に去りぬ

雄大なスケールの中に燃え上がる炎の恋!映画史に輝く不朽の名作(リバイバル時)

映画史上、燦然と輝く愛の金字塔!!
炎のごとく燃え上がる世紀のロマンを雄大、華麗に描いた永遠・不朽の名作(リバイバル時)

主人公スカーレットとヴィヴィアン・リーの奇跡の出会い

一番最初にこの作品を観たときは、その良さが全く判らなかった!余りにも幼すぎて・・・
その後、観たときに感動と共に大きなショックを受けた作品。
アカデミー賞の監督賞を取ったフレミング監督と共に、映画の後半はジョージ・キューカー監督がメガホンをとった。

作品としては、その影響もあり2部構成のような作りになっている。
フレミングはあくまで大河ドラマとしてこの作品を撮り続け、キューカーは人間ドラマとして撮った。
それでも、この作品が成功したのはプロデューサー・セルズニックの執念の現れだろう。

当時、最新のカラー技術を用いて、映像的な美しさを演出したのはもちろん、セットも豪華に組まれた。
俳優陣も、これ以上はないと言っても間違いないだろう。
レット・バトラー役は、当時はクラーク・ゲイブル以外考えられなかったし、スカーレット・オハラ役はヴィヴィアン・リーを発見することが出来た。
彼女にとっては、この作品に出たことによって一気にスターダムにのし上がった。
これだけのスターが出演しながら、それぞれの配役がピッタリとマッチしている点も、今後はなしえないことだろう。

ヴィヴィアン・リーの発見には逸話が残るぐらい有名。
数多くの有名な女優がカメラテストを受けたが、恋人でありイギリスの名優ローレンス・オリビエと共にハリウッドを訪れた彼女に、白羽の矢が立ったのは有名な話。

原作も、ミッチェル女史が南北戦争の話を伝え聞いたことを書き綴った部分と、彼女自身の体験を盛り込んだ話として書かれ、当時の大ベストセラーでもあった。
ミッチェル女史自身が、かなりの美貌の持ち主であり資産家の娘だったことを考えると、スカーレットはミッチェル自身とも言える。

この作品の素晴らしい点は、そのテーマにあった。
確かに最高の俳優に恵まれ、湯水の如くお金を使い、原作にも恵まれた。
やはりスカーレットの生き様を、南北戦争という大河ドラマをしっかり描きつつ、それに負けない力強さを持って描いていたことだ。
それは上にも書いたとおり、いくつかの偶然(原作が既に持っていたスカーレット像と、それを演じきれるヴィヴィアン・リーという女優の存在)によってなされた。

アトランタからタラに戻るシーンで、枯れ果てた木の傍らで力強く立ち上がるスカーレット、レッド・バトラーが去った後でもくじけない、スカーレットの精神的な強さ。
そこには、アメリカン・スピリットと言う言葉では片づけられない、人間として逞しさ勇気を感じることが出来た。
このテーマを見事に描き切り、傑作として映画史を語る上で、忘れることの出来ない作品となった。

Reviewed in 11.1998

風と共に去りぬ

人間のドラマの全てが詰まった作品

久しぶりにこの作品を観た。
前回観たのは5,6年前でビデオ、映画館で観るのは十数年ぶり。
今回の上映は、60年前のテクニカラーを再現する事を一番に考え処理したもの。
今年でちょうど60周年記念と言うこと。

映像自体は明らかにビデオに比べると美しく、映画館で聞く音楽はまた一段と良い。
但し、今回の上映館、有楽町スバル座は音響設備が余り良くなかったのが残念。

それはさておき、何度目か(十数度目か?)の鑑賞になるこの作品。
何度観ても素晴らしさを実感せずにはいられない作品。
今回はその素晴らしい点を色々発見する事も出来た。

まずその最初がドラマとしての素晴らしさ。
とにかく物語が面白い、それは原作者マーガレット・ミッチェルの功績で有る事は間違いない。
四人の主人公(レット、スカーレット、アシュレーにメラニー)が魅力的であること。
理想の男性像としてはレットであり、理想の女性像としてはメラニーなのだろう。
が、優柔不断さと優しさが混在するアシュレーもまた一つの男性像だし、気が強くわがままで利己的なスカーレットもまた一つの女性像の憧れの姿だと思える。
その四人の主人公が、アメリカ最大の内乱、南北戦争を舞台にして波瀾万丈の人生を送る。
大河ドラマと人間ドラマが混在する。
色々な愛の形を描きながらも、家族の絆や友情、そして奴隷制度や南部の文化も描いている。

そしてこの劇的なドラマ性を持った小説を、見事に映像化したことの素晴らしさ。
それは破綻のない演出もしかり、お金をふんだんに掛けたセットもしかり、で有る。

ここに描かれるテーマは人間の本当の強さとは何か?人間が生き残るには何が必要か?と言うことだと思う。
だからこそ、今でも人々の心を強く打つのだろう。

この映画にはおそらく、これからも起こり得ない偶然がいくつも重なって、奇跡が生まれたと言った方が良いのかもしれない。
それは60年前と言う映画の一番良い時代、ハリウッドの映画製作のシステムが完成した時期で有り、未だ初期の映画作りの純粋さを残していた時期でも有った。
そして意欲的でバイタリティあふれるプロデューサー、デビッド・O・セルズニックの手元に、この小説が渡ったこと。
更にクラーク・ゲイブルとヴィヴィアン・リーと言う二人の俳優が存在したこと。
最後の偶然は、この時期、本格的にカラー映画が出てきたこと(この映画ができたのは第二次世界大戦前である!)。

小学生の頃、この作品を観たときに、レットの男らしさを理解できず、スカーレットの魅力も理解できなかった。
ただ壮大なドラマだけに感心したに過ぎなかった。
それが少しずつ時間が経つにつれて、男女の愛に感動するようになった。

そして今回は親子の愛情、それに涙する事が出来る年齢になった。
オハラ親子の愛、レットの娘への溺愛、家族の大切さ...それらもこの作品、開拓精神旺盛なアメリカ人の心のより処、それが家族であることが、今、 この年齢になって理解できる。

良い映画を何度も観ることの素晴らしさ!それができることが映画の素晴らしさである。
そしてそう言う映画に出会えることこそが、(一つの)人生の喜びでもある。

今回、60年前のテクニカラーの美しさ、音楽にのって冒頭のタイトルが出るシーンから心揺さぶられる。
そして、スカーレットは言う「明日は明日の風が吹く」と。
その姿こそが、人を強くして生きる道標をとなることを、人々の心に植え付けていく...永遠に!

Reviewed in 11.1999

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