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広瀬すずをアイコンにした岩井俊二の傑作! 映画『ラストレター』

俳優の意思や演技力が伝わるか?

鏡史郎の高校生時代を神木隆之介が演じ、現代の鏡史郎を福山雅治が演じています。
松たか子の娘と、松たか子の高校生時代を森七菜が演じます。
そして、広瀬すずが、松たか子の姉と姉の娘の二役を演じています。

枯れた役で、豊川悦司と中山美穂が出てきます。
特に豊川悦司はどうしようもない人間として描かれています。

そのどうしようもない男に好きな女性を奪われた鏡史郎。
そこになにが有ったかは描かれていません、その悔しさ・虚しさを福山雅治が演じています。

淡々とおばさんを演じる松たか子には、後半に強烈なメッセージが発せられます。
「あなたの勇気があれば、姉の、そして私の人生も変わっていたのかも」と。

広瀬すずは、その美しさと共に、どこか危うい儚さを秘めています、それがその後の彼女の人生を変えていきます。
彼女が、鏡史郎から心が離れ、豊川悦司演じる陽市の元に行くのは、その彼女の危うさと共に、時代がさせたのかもしれません。

良かった昔の日本、その青春時代から抜け出せない鏡史郎よりも、現代を底辺だとしても生き抜く力を感じさせる陽市に魅力を感じる、バブル、そしてその崩壊など・・・そこには今の日本も介在させることを感じさせてくれるのです。

映画らしい楽しさが備わっているか?

岩井俊二という映画作家は、その殆どの活動を日本でしています、一時期、カナダで撮った『ヴァンパイア』(2011)がかなりの例外と思えます。

そして、是枝裕和監督は違い、カンヌ国際映画祭や海外の賞を取りまくる、といったことも聞きません。
そう考えると、純日本的なものをテーマにして描き続けている作家なのかもしれません。

日本の多くの映画監督と同様に低予算の映画制作を経験した中から、日本的な映画制作というものが感じられます。
その一番のものが、ロケーション選びの上手さ。
今回は、初めて岩井俊二監督の生まれ故郷というロケ地選びには、最も得意にする土地で映画を撮っています。
土地柄の使い方、映像表現が上手い、キレイな画になっています。

日本という国のある土地、そこには必ずその土地の四季があり風情がありますが、この作品でそれを上手く汲み取って映像にしています。
日本人には、それが何度観ても、なにか懐かしく淡い思いにさせてくれると思います。

2時間位の物語の中で、数十年の思いや、一年間の季節感を感じさせてくれる、日本映画の良さが詰まった作品と言えると思います。

ラストレター

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