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映画『アンダーグラウンド』 国を失う悲劇をコミカルに描いたファンタジー

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映画『アンダーグラウンド』UNDERGROUND

アンダーグラウンド

昔、ある所に国があった。

地上と地下、それは支配するものとされるものを描いていた

久々の怪作を観た。
ユーゴスラビアの近代史を紐解く作品とも言える。

冒頭から騒々しい音楽と共にユーゴスラビアに生きる人々が、生き生きと映し出される。
と、同時に第二次世界大戦に突入。
東欧の映画らしい、洗練はされていないが、人間味有る独特の雰囲気に溢れる。

映画としては少し冗長なとこも確かにあるが、それ以上に素晴らしいテーマを持つ、一つ一つのシーンが美しい。

前半はひたすら人々の暮らしや人間の愛憎が描かれる。
マルコとクロと女優のナタリアの三角関係が軸になる。
戦争の激化、ゲリラ化に伴い、人々は地下に潜る。
マルコとナタリアだけが地上で生活をし、地下の人々に生活物資を送る。
地下の人々はその中で、希望を失うこと無しに自分たちの生活を続ける。

画面には滑稽な風景が映し出される。
しかしそこにはユーゴスラビアの人々の生きる事への力強さ、国を取り戻す事への強い意志が現れている。

地上では戦争が終わり、共産党のチトーが政権を執る。
映画の中盤から、実写も織り込みながら歴史を語り始める。
と同時にマルコとナタリアの苦悩が描かれる、地下の人々を裏切り続ける事、騙し続ける事への...

地下の人々は、地上の戦争が終わったことを知らない。
マルコのとった行動は、地下の人々を殺すことだった。
クロとその息子は地上に脱出する。
クロの息子が初めて見る太陽のシーンは感動的ですらある。
映画史上の最も美しい1シーンと言える。

それから20年が過ぎ、ユーゴスラビアは内戦に突入する。
そこには民族の対立、ユーゴスラビアの崩壊が有った。

結局、クロは自分を裏切ったマルコとナタリーを間接的に殺すことに...。
そして自らも命を落とす。

生き生きとした人々、その生活を描きながら、その人々が住む故郷・ユーゴスラビアと言う国が存在しない事への底知れぬ、悲しみ、怒りが描かれている。

ラストのイヴァン(マルコの弟で、チンパンジーを連れた動物園の元飼育係)の言葉に心が痛む。
それでも人々は生き続ける、踊り続ける!そこに自分の土地が無くても。
映画のテーマに、底知れぬ痛みと感動を憶える、大作であり、傑作である。

Reviewed in 03.1999 

映画『アンダーグラウンド』のデータ

UNDERGROUND 171分 1995年 フランス=ドイツ=ハンガリー
監督■エミール・クストリッツァ
製作総指揮■ピエール・スペングラー
製作■カール・ボームガートナー
原作■デュシャン・コバチェヴィチ
脚本■デュシャン・コバチェヴィチ/エミール・クストリッツァ
撮影■ヴィルコ・フィラチ
音楽■ゴラン・ブレゴヴィク
編集■ブランカ・ツェペラチ
衣装■ネボイシャ・リバノヴィチ
美術■ミリェン・クリャコヴィチ“クレガ”
出演■ミキ・マノイロヴィッチ/ミリャナ・ヤコヴィッチ/ラザル・リストフスキー/スラヴコ・スティマ

1995年カンヌ国際映画祭
パルム・ドール授賞 エミール・クストリッツァ

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 1941年から始まった旧ユーゴスラヴィアの戦いと動乱の歴史を、マルコとクロという二人の男を通して描いた作品。

1941年、ユーゴ王国はナチス・ドイツに侵略された。
クロを誘ってパルチザンに参加したマルコは、自分の祖父の地下室に弟やクロの妻などをかくまう。
やがて重傷を負ったクロも地下室に運び込まれる。
終わりなき戦争を信じる彼らが、地上に戻った時、既に戦争が終わり20年が過ぎていた。

クストリッツァ監督は、デビュー作「パパは出張中」でも、’85年カンヌ国際映画祭でグランプリ、「ジプシーのとき」で、’89年カンヌ国際映画祭監督賞を授賞している。
世界でも最も独創的な映画作家の一人である。 <allcinema

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