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映画『ニュー・シネマ・パラダイス』 感動!映画好きが泣ける映画No.1

ニュー・シネマ・パラダイス

NUOVO CINEMA PARADISO/CINEMA PARADISO 124分 1989年 イタリア=フランス

ニュー・シネマ・パラダイス

ニュー・シネマ・パラダイス

映画を愛するということ

この映画の感想を言う時は、自分の立場を明確にしなくてはいけないのかもしれない。
それは、映画を観る者、映画を愛する者を描いた映画で有るからだ。

もちろん僕は、こうして映画のサイトを立ち上げている以上、映画を愛している一人である。
従って、この映画に対しても、映画を愛する一観客として観てしまう、しょうがないが... 果たして、映画を娯楽として時々しか映画を見ない人、
そう言う人にはこの映画はどういう風に映るのであろう?

娯楽と言えば、映画しかなかった時代に、子供が故の純粋さに、勉強よりも映画に興味を持つのは、ある種自然の成り行き。
そんな少年が、たまたま映写室のおじさんと仲良くなって、次第に映画の世界にのめり込んでいく。
そして、自らが映画の映写技師になっていく。
しかし、映写室のおじさんアルフレードは、少年から青年に成長したサルヴァトーレに、街を出るように言う。
数十年後、サルヴァトーレはローマで有名な映画監督になり、アルフレードの訃報を聞き、故郷に戻ってくる。
サルヴァトーレの少年時代のアルフレードとのやり取り、また、街の人々が映画観る姿が微笑ましい。

そう、この映画観ている観客達がそうであるかのように...。 もちろん、映画の中の彼らの方がもっと純粋である、それはこの映画を観ている我々の願望でも有るのかもしれない。
そして、サルヴァトーレは成長して恋をする。
徐々に、映画だけではない人生が彼の前に現れてくる。
しかし、サルヴァトーレは街を出ても、映画監督になっているのである。

ここでふと、自分を振り返る。
人生は、映画のような作られたものではない。
いや、映画にも素晴らしい点が沢山ある。
しかし、アルフレードは、「街を出ろ!絶対に戻ってくるな」と言う。
その言葉の中に、人生にはいろいろな生き方が有ることを言っているように思えて ならない。

アルフレードの人生は、映画だけに生き、読み書きも出来ずに人生を過ごしてきた事への後悔の有った人生なのかもしれない。
彼の素晴らしい想い出は、サルヴァトーレとの出会いだったのかもしれない。
サルヴァトーレは、映画から離れるために街を出たが、映画の道を選び、そう人生のいろいろな生き方の中から、映画を選んだのだ。
いろいろな人生の選択肢から、またいろいろな経験から、サルヴァトーレは映画を選んだのである。

僕はこの映画を、決して映画こそが人生である...と言ってる訳ではないと思う。
人生に起こるいろいろな事は、映画以上に素晴らしい事なのだ、そして、その傍らに映画を置いておくともっと豊かに素晴らしい人生が送 れるのではないか?そんな思いを抱く。
街に戻ってきたサルヴァトーレは、映画館の取り壊しを見る。
そしてアルフレードが残したフィルム、かつて切り取られたキス・シーンばかりを集めたフィルム、それは郷愁と共に、人生として映画を 選んだアルフレードの魂を、サルヴァトーレは感じ取ったに違いない。

街を出たからこそ、人生が豊かに感じられるからこそ、映画の素晴らしさを感じ取れるのであろう。
この映画は、映画そのものを描いた映画...私には涙と歓びを持ってしか観ることの出来ない、大事な映画なのである。

私的『ニュー・シネマ・パラダイス』

① テーマが有るか?共感できるか?

映画が好きな人なら共感できない人はいないだろう、でも映画が好きな人以外でも、自分の青春に思い入れがあるなら、何か共感できることがある筈。

② 作り手の強い意思を感じるか?

この作品が出来てから25年以上が経過するが、監督の故郷に対する思い入れの深さは今でも変わらない。最近(2015年)テレビで、トルナトーレ監督がシチリアを訪れて、映画の想い出を語ってくれたのは、印象的だった。
映画(の内容)自体が、監督の青春そのものだったらしい。

(2020.07.07. 追記)

トルナトーレ監督は、地元の人々を映画に実際に出演させました。
2015年でも、当時、映画の撮影エピソードやエキストラ出演した人々がトルナトーレ監督に話かけます。
青春はある意味、美化されて思い出となりますが、それをそのままパッケージにしたような話であり、これはファンタジーとも言えるかもしれない。
知り合いのプロデューサーが、この作品は「最低」という評価をしています。
それも理解できる部分なのです、あまりに映画へのオマージュにあふれ過ぎていて、問題提起や時代性という映画の本来の力を使っていないというのも判ります。

トルナトーレ監督は『マレーナ』や『海の上のピアニスト』でも同様に、正確な事実を描くのではなく、彼の創造した世界=ファンタジーとして、その時代をとらえている気がしてなりません。

③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

少年トトは実際に街に住んでいた一般の男の子の中から選ばれたカシオ少年。
フィリップ・ノワレの名演も、カシオ少年の可愛らしさ・表現力には敵わない。
逆に、街の人々が多くエキストラとして参加し、映画を愛していたからこそ成立した作品だと思う。

④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

映画のキス・シーンをカットするところとか、映画館の情景が生き生きと描かれている。
そして、映写機からの光を反射させて、建物の外に映画を投影させるところは、映画館の素晴らしさを感じさせてくれる演出と言える。

⑤ エンターテイメント性

笑って、泣いて、感動して~深く考えなくても、自分の青春へのオマージュを感じることが出来るだろう。

(2020.07.07. 追記)

昨日、エンニオ・モリコーネが91歳で亡くなった(合掌)。

セルジオ・レオーネ監督の『荒野の用心棒』などのマカロニ・ウエスタンで多くの音楽を提供、と同時にジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品にも多く関わっている。
この映画のスコアも印象的であり、ロマンチックで素敵な楽曲になっています。

映画にとっては、音楽も重要な要素だと感じさせてくれる作品です。

⑥ 演出が素晴らしいか?

何か素晴らしいテクニックを感じることはないが、映画好きな監督らしいツボを押さえた演出になっていると思う。

⑦ 脚本が素晴らしいか?

実は普遍的なテーマを正統派の語り口で描いている。これを映画ではなくてサッカーや何か青春の1ページに置き換えてみても成り立つ物語。
出てくるアイテムも素敵で、ラストの映写シーンは、涙無くして見れない筈。

⑧何度も見たくなるか?

人を前向きにさせてくれて、人生を思い返すことが出来る、と言う点で、何度も見てしまう。
何度見ても、泣いてしまう、そんな作品。

映画『ニュー・シネマ・パラダイス』のデータ

監督■ジュゼッペ・トルナトーレ
製作■フランコ・クリスタルディ
脚本■ジュゼッペ・トルナトーレ
撮影■ブラスコ・ジュラート
音楽■エンニオ・モリコーネ
編集■マリオ・モッラ
美術■アンドレア・クリザンティ
出演■フィリップ・ノワレ/サルヴァトーレ・“トト”・カシオ/ジャック・ペラン/アニェーゼ・ナーノ/マリオ・レオナルディ/イザ・ダニエリ/レオポルド・トリエステ/ブリジット・フォッセー 『ニュー・シネマ・パラダイス』オフィシャルサイト

アカデミー賞 1989年 外国語映画賞授賞
カンヌ国際映画祭 1989年  審査員特別賞授賞 ジュゼッペ・トルナトーレ
ゴールデン・グローブ 1989年  外国映画賞授賞

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【解説】
シチリアの小さな村にある映画館パラダイス座。
そこで青春時代を過ごした映画監督サルヴァトーレが、当時、慕っていた映写技師アルフレード(フィリップ・ノワレ)の訃報を聞き、故郷に帰ってくる。
そして、少年時代、青年時代の思い出に浸っていたサルヴァトーレが受け取ったアルフレードの形見には、映画への愛とアルフレードの想いがぎっしり詰まっていた・・・。
弱冠29歳のトルナトーレ監督が、映画を愛する全ての人に送る感動編。
劇場とフィルムにまつわるエピソードはどれも楽しく、その中で展開される悲喜こもごもの人生模様。
エンニオ・モリコーネの切なくも美しいメロディに包まれて迎える、映画の持つ“力”が具現化されたクライマックスは、涙なくして観られまい。

かなり印象を異にする3時間完全オリジナル版もあるが、はっきりいってこちらだけで十二分である。(映画データベース - allcinema より)

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