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映画『愛情物語』とノクターンと私のニューヨーク

映画『愛情物語』

THE EDDY DUCHIN STORY 123分 アメリカ 1956年

悲劇の天才ピアニスト エディ・デューチンの 妻と子と音楽に捧げた限りない愛の人生--
静かな感動が…暖かい心のふれ合いが 数々の名曲とともに いま甦る不朽の名作

ハリウッド黄金期の古き良き映画、涙無くして見られない

ハリウッド映画はハッピー・エンドという固定概念があるが、実はこの作品も含めて、ハリウッド黄金期(1940年代~1950年代)の美男美女映画は、意外と悲恋とか泣ける映画が多い。
この作品も涙無くして見られないそんな作品になっている。

そう1950年代の古き良きハリウッド映画です。
監督は名匠ジョージ・シドニー、主役にはタイロン・パワーとキム・ノバクの二人。
実際にいた不世出と言われた名ピアニスト・エディ・デューチンの伝記物語。

主人公エディが無名な新人時代から、ニューヨークで成功して華やかな生活、愛妻の死、そして新しい恋人とはほろ苦い恋、息子との心の葛藤など、波瀾万丈な人生を送る感動のドラマ。

なんといっても44歳で亡くなったタイロンパワーの2枚目ぶりが光る、彼の晩年の作品だが一番脂の乗っていた時期でもあった。
そしてヒロインのキム・ノバクは『ピクニック』『黄金の腕』『夜の豹』『めまい』『媚薬』と一番美しい時期にこの役を演じている。

私の想い出

私が両親に連れて行ってもらった初めての洋画だと思う。
(この後に『奇跡の人』『暗殺者のメロディ』を二本立てで見た記憶がある)

もちろん1956年の映画なので、リバイバル上映で見たはずだが、シートが満席で両親は立って、当時小学生の低学年だった私は、通路に座って見た記憶がある。

この作品を見ながらボロボロ泣いた記憶があり、そしてこの作品をキッカケで、ハリウッド映画にのめり込んでいった最初でもあった。
この時期は、淀川長治さんが日曜洋画劇場をやっていたのと、確かイレギュラーで22時台スタートの白黒ハリウッド映画を放送していた気もする(未確認)。
深夜帯にSONY一社で、途中にCMを入れない映画の放送もしていた。

と言うことで、この作品は『慕情』や『めぐり逢い』『哀愁』といった美男美女たちの悲恋の虜になる第一弾であった。

私的『愛情物語』

テーマが有るか?共感できるか?

人生の悲劇を描いている、そして人はいい時もあれば必ず苦しい時も訪れる。

それでも人は生きていかなくてはいけない。
本当に辛いのは、周りの人間たちなのかもしれない。

主人公とヒロインが美男美女と言うこともあるが、貧乏人からはい上がると言うアメリカン・ドリームを手にする主人公に観客は共感せずにはいられない。

貧しい彼を盛り上げたのは、ニューヨークで既に実業家として成功していたヒロインのキム・ノバクであった。
成功には必ずそれをサポートするパートナーが現れるものだ。

作り手の強い意思を感じるか?

この頃のハリウッド映画は、美男美女を使って夢のようなメロドラマを作り上げている。
実際、美男美女だからその悲しみの深さや喜びが伝わる場合もある。
この際作品はだからこそ成立するのかもしれない。

俳優の意思や演技力が伝わるか?

タイロン・パワーはすでにこの時40代であるが、劇中で若い頃から年配までの主人公を演じきっている。
後半は彼の実年齢に近づき、中年の渋みも加わり大人の恋愛を魅せて圧倒してくる。

映画らしい楽しさが備わっているか?

この作品はハリウッド黄金期の華やかさがあり、その上で最後に悲劇が訪れると言う脚本も素晴らしい。

ハリウッドスターを揃えているという点でも、ハリウッド映画黄金期の最も華やかな美しい時代の作品とも言える。

エンターテインメント性

この作品では実際にエディー・デューチンの見事なピアノの調べが使われている。
もちろん引いてるシーンにおいてはタイロンパワーがあたかも弾いているかのように演じきっている。

この映画の最大の見どころは、やはり使われている音楽のノクターンのメロディにあると思う。

演出が素晴らしいか?

印象的なシーンが散りばめられている。

新人の頃はピアノ途中で明け渡す時に椅子から落とされたり、少し笑えるしまったりする。
一方でラスト近くになるとグランドピアノを二台並べて演奏するシーンで、交互に親子の表情が映し出されいるが、病気になった父親は途中で姿を消していく。
そして部屋からカメラが家の外に出て行く、父親がいなくなることを象徴している演出でもある。

脚本が素晴らしいか?

ハリウッドスタイルのこの脚本については申し分ない。
主人公がいくつもの困難を乗り越えて、それでもラストに悲劇が待っている。

起承転結の他にもターニングポイントとなる中間地点で、愛する一人目の妻(キム・ノバク)を亡くす主人公。
ラストは涙をなくしてみる事はできない。

何度も見たくなるか?

これぞハリウッド黄金期!2人の美男美女の演技を見るだけでも楽しい!
さらに音楽も素晴らしくノクターンは最も好きなピアノの一曲でもある。

私が新婚旅行でニューヨークを訪れた時に、ブルックリン橋の近くのピアノバーで、ノクターンの演奏をリクエストしたのが想い出である。

映画『愛情物語』のデータ

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監督■ジョージ・シドニー
脚本■サミュエル・テイラー
撮影■ハリー・ストラドリング
音楽■モリス・ストロフ
オリジナル音楽■ジョージ・ダニング
ピアノ演奏■カーメン・キャバレロ
出演■タイロン・パワー/キム・ノヴァク/ヴィクトリア・ショウ /ジェームズ・ホイットモア/ジャック・アルバートソン

【解説】
 ピアニストとして生計を立てようとニューヨークにやって来たエディ。
 彼は資産家の令嬢マージョリーに見出され、オーケストラで演奏することに。
 また、2人の間には恋が芽生え、結婚。やがて息子ピーターが生まれたエディは、順風満帆な人生を送っていくように思われた。
 だがクリスマスの夜、マージョリーが急死してしまう。
 落ち込んだエディはピーターを残し巡業、そして第二次大戦に身を委ねていく。
 終戦後、10歳になったピーターのもとへ戻ってくるエディだが…。

 不世出と言われた名ピアニスト、エディ・デューチンの伝記物語。
 音楽家としての華々しい成功だけでなく、愛妻の死、新しい恋人とのほろ苦い恋、そして息子との心の葛藤など、人間として苦悩に満ちた生涯を送った男の感動的な人間ドラマに仕上がっている。
 監督G・シドニーは、見事な職人芸でまとめ上げており恋愛映画の教科書と言っても過言ではない。(allcinemaより

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