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映画『汚名』 イングリッド・バーグマンの美しさが罪

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映画『汚名』 NOTORIOUS

汚名

イングリッド・バーグマンの美しさに酔う

ヒッチコック作品か?それともイングリッド・バーグマンの作品か?それ程、この作品のバーグマンは美しい。
とは言え、そのバーグマンの美しさを引き出したのは、間違いなくヒッチコックである。

サスペンスとしての見せ方は、やはり一級。
作品の細かい背景を全て省き、シンプルな構成に、しかしその中に複雑に張り巡らさせた伏線が、観客をいつの間にか、登場人物に同化させる作用となっている。

アリシア(イングリッド・バーグマン)とデブリン(ケイリー・グランド)、二人の愛情が、セバスチャン(クロード・レインズ)の嫉妬を生み、それが物語のあらゆる伏線に。
ブラジルでのセバスチャンと仲間たちの会話で、仲間の一人のミスを責め、暗殺する相談をする。
この事がセバスチャン自身のミスの隠蔽へとつながる。
セバスチャンと仲間達の強い絆と共に、そこにある真実は相互不信に他ならない。
またアリシアが、アメリカでアル中であったことが、毒を飲まされた彼女を見たデブリンに誤解を生ませる。

相変わらずカット割りの上手さで、見せ方が良い。
それ以上にバーグマンの美しさが光る、酔いしれる。
バーグマンは背が高いが、彼女の一番美しいアングルは、上向き加減に目を閉じてキスをする表情。
これを背の高いケイリー・グラントと組み合わせて、存分に魅せてくれる。

逆に背の低いセバスチャン役のクロード・レインズの立場が強調されてくる。
そう彼のコンプレックス、一つは背が低いこと。
もう一つはマザコンで有ること、この事が大きな伏線になる。
彼はアリシアのような美しく、大きな女性にモテるはずが無い、受け入れられるはずが無いと考えてい た。
だからこそ、アリシアが近づいてきた時に、それを有頂天になって何の疑いもなく受け入れてしまっている。
これは、ヒッチコック自身の、母親に対する愛情の深さと、自分の体型に対するコンプレックスの裏返しだろう。

また重要なのは、アリシアの中の二つの観念。
一つは愛国心という道徳観と、もう一つは愛情というもの。
愛国心のため、またデブリンに対する愛情のために、アリシアは敵のスパイであるセバスチャンと結婚までしてしまう。
この板挟み、同時にそれはデブリンにも言えること(好きな女性を、他人の妻に送り込む)で、この事が、観客の心情に迷 いを生じさせ同情を生む。
完璧なまでに作り込まれた脚本(ベン・ヘクト)と、ヒッチコックの見事な演出、そしてバーグマン、グラント、レインズの見事な演技が醸し出す、サスペンスとラブ・ロマンス。

ヒッチコック作品の中でも秀逸な一本で有る。

Reviewed in 09.1999 

映画『汚名』のデータ

NOTORIOUS 101分 1946年 アメリカ

監督■アルフレッド・ヒッチコック
製作■アルフレッド・ヒッチコック
共同製作■バーバラ・ケオン
助監督■ウィリアム・ドーフマン
原案■アルフレッド・ヒッチコック
脚本■ベン・ヘクト
撮影■テッド・テツラフ
特殊効果■ヴァーレン・L・ウォーカー/ポール・イーグラー
美術■アルバート・S・ダゴスティーノ/キャロル・クラーク/ダレル・シルヴェラ/クロード・カーペンター
音楽■ロイ・ウェッブ
衣装■イディス・ヘツド
録音■ジョン・トリビー/クレム・ポートマン
編集■テロン・ウォース
製作会社■RKO
備考■白黒
日本公開■1948年、1968年、1983年
出演■ケイリー・グラント/イングリッド・バーグマン/クロード・レインズ/ルイス・カルハーン/レオポルディン・コンスタンティン/ラインホルト・シュンツェル/マローニ・オルセン/イヴァン・トリーソルト/アレクシス・ミノティス/エバーハルト・クルンシュミット/フェイ・ベイカー

アカデミー賞 1946年
助演男優賞ノミネート クロード・レインズ
脚本賞ノミネート ベン・ヘクト

<DATA>

 父親にドイツのスパイ容疑がかけられ、売国奴の娘と呼ばれたアリシア(イングリッド・バーグマン)にFBIの捜査官デブリン(ケイリー・グラント)が接近してきた。
 ナチの残党と思しき人物セバスチャン(クロード・レインズ)が父の友人であったことから、アリシアにその内情を探って欲しいという依頼だった。
 舞台は、マイアミからリオ・デ・ジャネイロに移り、アリシアはそこでセバスチャンの求婚に応じるが、デブリンとの連絡も引き続き行われていた。
 やがて、彼女は屋敷の酒蔵で組織の秘密を突き止めるが、その事に気づいたセバスチャンは・・・。

 ヒッチコック作品の中では、スリラーの要素よりもメロドラマの色を濃くした作品で、バーグマンとグラントが見せた熱烈なラブ・シーンは公開当時かなりの話題となった。
 登場人物の設定と行動について、いささか説明不足の感もあり、ドラマの中にすんなり入って行けるとは言い難いが、さすが、個々のサスペンス醸造は見事。 <allcinema

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