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映画『あん』 「死ぬときぐらい好きにさせてよ」人生の重荷を下ろす映画

更新日:

映画『あん』

113分 日本/フランス/ドイツ 2015

映画『あん』

やり残したことは、ありませんか?

2016年正月早々の新聞広告一面に衝撃的な広告が掲載されました

2012年の第36回日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞に輝いた女優の樹木希林さんが、全身を癌に侵されていると公表し話題になりました。

その樹木希林さんが生きるのも日常、死んでいくのも日常とコメントしています

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相変わらず元気にご活躍中の樹木希林さん。
昨年(2015年)公開の『あん』でも素晴らしい演技をされてました。

一方でジャーナリストの竹田圭吾さんが51歳と言う若さで亡くなりました

竹田圭吾
「Mr.サンデー」でも癌を告白されていて、髪の毛は抜けてないのでカツラと言う話もされていました。
このところ、明らかに痩せてきていたので...と考えると人はいつ死ぬか、何歳で死ぬか判らないものです。
それでも、死の間際までテレビに出続けていたのは、ジャーナリストとしての本懐だったのでは、と。
上記の樹木希林さんのコメントが心に刻まれます。

はじめて河瀨直美監督の作品で好きになりました

河瀬直美監督作品『あん』です。
どら焼きの「あん」のことです。

街の小さなどら焼き屋さんの雇われ店長(永瀬正敏)のところに、ある日、一人の老女(樹木希林)が求人募集を見て働かせて欲しいと言ってくる。

『あん』ロケ地

その高齢のため、一度は断る店長だったが、老女が残していった粒あんが絶品だったので老女を雇うことにする、と・・・
(写真は、どら焼き屋のセットが有ったロケ地です、ちょっと見に行ってきました)

河瀬直美監督作品は『殯(もがり)の森』以来、見ているのですが、睡魔との格闘が有ったりと苦手な監督になりつつ有りました、前作の『2つ目の窓』も今ひとつピンとこないところが有って。

そんな中、今作品、感動的でした!
樹木希林さんの演技が圧巻でした!!もうこれを観るためだけに映画を観て欲しいくらいです。

人はそれぞれに人生に重荷を背負うことが有ります、どら焼き屋の店長も重荷を背負ってこの場所でなんとなくどら焼きを焼いています。
樹木希林さん演じる老女は、更に重たいものを背負っているのに、どこか明るく前向き、時折、陰が見え隠れするのですが・・・その演技が凄い、河瀬直美監督は長回しで俳優の演技を引き出しますが、樹木希林さんの独特の間も生きています。

作品を見終わった時に、その重荷を一つ降ろした開放感がまた大きな感動を与えてくれました。

国立療養所多磨全生園

映画の中盤で樹木希林さん演じる老女はハンセン病患者だと言うことが判る。
不当な差別を受け、何十年も隔離されて世間から切り離されている。

そんな彼女がやっと世間との接点を持ち、それに心から喜ぶ姿を、光と影で表現している。
でも、この作品で涙する人々は、本当に差別を憎んでいるのだろうか?と。
ハンセン病はつい最近まで差別の対象だった、たまたま私がこの作品の舞台の近くに住んでいることで、ハンセン病の多少なりの知識が有ったから、途中でハンセン病の話が出た時、絶句してしまった。
(写真は、国立療養所多磨全生園です、近くなのでこちらも行って来ました)

作品の良さを味わってもらうこと共に、この作品の持つテーマ、差別と言うことも今一度考える機会になればと・・・
もしかしたら、私だって作中の浅田美代子さん側の人間かもしれないのだから、と。

私的『あん』

テーマが有るか?共感できるか?

主人公の二人、樹木希林さん演じる老女と永瀬正敏さん演じるどら焼き屋の店長が、重い荷物を持って人生を生きています、そう誰もが軽重は有るのかもしれませんが、荷物を背負って生きています。
それが不当な差別としたら、それでも強く生きることを教えてくれる作品に感動しました。

作り手の強い意思を感じるか?

常にテーマ性の高い作品を送り出す河瀬直美監督が、それまでの抽象的な生命の神秘・不思議を描いていたのとは一変して、ストレートに「人生」を描いたことに驚き、感心させられました。

俳優の意思や演技力が伝わるか?

感想にも書きましたが、樹木希林さんの演技が凄かった・・・それって演技ですか?と。
最近、特に演技面の充実が見られる永瀬正敏さんも良かったです、樹木希林さんと見事な対を成していました。

映画らしい楽しさが備わっているか?

低予算のしかもこの手のテーマの物語なので、大作のような大画面で楽しむ、と言うだけの作品では有りません。
でも実際に、この手の差別を取り扱った作品をテレビで放送することが難しいのが現実です。
だからこそ、映画でやる価値がある作品と言えます。

あん

エンターテイメント性

樹木希林さんの演技を見る、と言うのもエンターテイメントではないでしょうか?
派手さは有りません、低予算で良い映画を作ると言った見本のような作品です。

演出が素晴らしいか?

河瀬直美監督は独特の映像感覚を持っています、毎回、それは楽しみにしています。
そして長回しが好きな監督さんでも有りますが、今回は、樹木希林さんをはじめとする俳優さんたちの演技が素晴らしいので、非常にマッチしている感じです。

脚本が素晴らしいか?

予告で既に「らい」と言う言葉が出ているのですが、私が知らなかったので、流石に物語の展開に驚かされました。
前半と後半の陰影のある展開が素晴らしかった、河瀬直美監督の作品を今回評価したのは、脚本の素晴らしさに有ったのかもしれません。

何度も見たくなるか?

重いテーマの話なので、何度でも見たい!と言うよりも、人生の節目で観たくなる作品だと思っています。

映画『あん』のデータ

あん

監督■河瀬直美
プロデューサー■福嶋更一郎/澤田正道/大山義人
原作■ドリアン助川 『あん』(ポプラ社刊)
脚本■河瀬直美
撮影■穐山茂樹
美術■部谷京子
編集■ティナ・バス
主題歌■秦基博 『水彩の月』
照明■太田康裕
録音■森英司
助監督■近藤有希
出演■樹木希林/永瀬正敏/内田伽羅 /市原悦子/水野美紀/太賀/兼松若人/浅田美代子

映画『あん』公式サイト

【解説】
 ドリアン助川の同名小説を「殯(もがり)の森」「2つ目の窓」の河瀬直美監督が映画化した人生ドラマ。
小さなどら焼き屋の雇われ店長と、粒あん作りの腕を買われて働くことになった老婦人の心の交流と、次第に明らかとなる老婦人が辿った過酷な人生を優しく見つめる。
主演は「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」の樹木希林と「隠し剣 鬼の爪」の永瀬正敏。
また、樹木希林とその実孫・内田伽羅との初共演も話題に。
 町の小さなどら焼き屋“どら春”で雇われ店長をしているワケありの中年男、千太郎。単調な毎日を送る彼の前に、ある日、求人募集の張り紙を見て働かせてほしいと申し出る老女、徳江が現われる。
彼女の粒あんが絶品だったことから雇ってみたところ、たちまち評判となり、店はみるみる繁盛していくが…。(映画データベース –allcinema より)
 

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