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映画『エリザベス』 血に塗られた女王・エリザベスを見事に描く

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映画『エリザベス』 ELIZABETH

エリザベス

世界の映画賞、堂々16部門受賞!!!
その瞳が、唇が、その存在が革命<ヴァージン・クイーン>25歳。

ヴァージン・クィーン演じきったケイト・ブランシェットの世界デビュー!

イギリスの歴史時代劇と言うだけで、ちょっと楽しみにしていた作品。
しかも今年(1999年)のアカデミー作品賞ノミネート作品でもある。
ノミネートされた作品の中では、日本公開が一番遅い作品となったが、これまでのノミネート作品のどれもが面白く質が高く、その点でも楽しみにしていた作品。

観終わった時の第一印象が、あぁ~楽しかった!なのである。
私は歴史物が好きで、しかも時代に翻弄された人々を描いた作品を観ると、とっても感動してしまうのである。
で、この作品はどうかというと、余り感動はないのだが楽しいのである!

第一印象の後に、不満がいくつか出てきたことも確か。
スケール感がないのである。
映像も絢爛豪華だし、建築の様式美や船遊びの花火のシーン等の演出はあるのだが、どのシーンも奥行きが感じられないのだ。
この点は、ヴィスコンティが涎が出るくらい巧いのだが、どうもこの作品ではお金の掛け方が足りないような気がするし、後はカメラワークが今ひとつな気がした。
映画が始まってすぐは俯瞰などのシーンが有って良かったのだが、どうも画面全体が暗いことも有って、一つの場面での奥行きが出てこない。
また、如実なのは、戦場のシーンでエキストラをケチったのか?写している場面が狭いような気もした。

それと重厚さと言う点で、今ひとつなのである。
エリザベスⅠ世の時代絵巻なのだから、個々の登場人物の描き込みをもう少ししたら良いのにと思う。
一番気になったのが、ノーフォーク公の描き方。
彼はメアリーⅠ世が亡くなったときに、女王の証である指輪をエリザベスに渡すように指示する。
このシーンは、彼がイングランドに対しての忠誠心の高さ表す。
その人物がエリザベス暗殺の中心人物になる理由や背景をもう少し描くべきだったような気がする。
結局、時代という背景の描き込みが、もう少し踏み込まれていないことが、この作品から、重厚さを奪ってしまったのだろ う。

また、この時代は暗殺や策略が当たり前。その点、もっと残虐なシーン等が有ると、逆にエリザベスの凛々しさや清らかさが際立ったのでは?と思わせる。

が、これらの点が有ったとしても面白かったと思わせるのは、この映画のテーマは、その時代性よりも、エリザベス自身の 成長と言う点に焦点を絞り、それに応えてケイト・ブランシェットが見事な演技をしたことに有ると思う。

不遇の少女時代から恋に落ちて、そして女王になり裏切られ政治の中で辛い立場に置かれてしまう。
その中で愛らしく美しい女性から、戸惑いながら苦しむ女性、そして威厳と自身に満ちあふれた女性への変貌。
決してブランシェットが美しい女優だとは思えないが、繊細な表情の素晴らしかったこと!彼女を見るだけで、この作品を観る価値が有ると思えてしまう。

また彼女を囲む俳優陣。
『恋におちたシェイクスピア』(時代も同じエリザベスⅠ世)と重なるジョセフ・ファインズとジェフリー・ラッシュの二人は、こっちの作品の方が断然良い。
特にジェフリー・ラッシュが、ファニー・アルダン演じるメアリー・ド・ギーズを暗殺しに行ったときの演技が素晴らしい。
他にもイギリスやフランスの名優が、素晴らしい演技を披露してくれる。

結局、ケイト・ブランシェットの瑞々しさが私に楽しい!と言う思いにさせてくれた作品でした。
アカデミー賞を授賞したジェニー・シャーコアのメイクアップは素晴らしかったし、意外と音楽が良かったなぁ~と。
それにしてもこの作品、どこか『ゴッドファーザー』に似ていませんか?

最後に、元フランス代表のサッカー選手だったカントナが、結構、演技して頑張っているのを観て思わず微笑んでしまっ た。

Reviewed in 09.1999

映画『エリザベス』のデータ

ELIZABETH 124分 1998年 イギリス

監督■シェカール・カプール
製作■アリソン・オーウェン/エリック・フェルナー/ティム・ビーヴァン
脚本■マイケル・ハースト
撮影■レミ・エイドファラシン
プロダクション・デザイン■ジョン・マイヤー
衣装■アレクサンドラ・バーン
編集■ジル・ビルコック
音楽■デヴィッド・ハーシュフェルダー
キャスティング■ヴァネッサ・ペレイラ/シモーヌ・アイルランド
ライン・プロデューサー■メリー・リチャーズ
メイクアップ■ジェニー・シャーコア
共同製作■デブラ・ヘイワード/リザ・チェイザン
出演■ケイト・ブランシェット/ジョセフ・ファインズ/ジェフリー・ラッシュ/クリストファー・エクルストン/リチャード・アッテンボロー/ファニー・アルダン/キャシー・バーク/エリック・カントナ/ジェイムズ・フレイン/ヴァンサン・カッセル/ジョン・ギールグッド/ケリー・マクドナルド/ダニエル・クレイグ

1999年 アカデミー賞
最優秀メイクアップ賞授賞 ジェニー・シャーコア
作品賞ノミネート
主演女優賞ノミネート ケイト・ブランシェット
撮影賞ノミネート レミ・エイドファラシン
美術賞ノミネート ジョン・マイヤー
衣装デザイン賞ノミネート アレクサンドラ・バーン
作曲賞(ドラマ部門) デヴィッド・ハーシュフェルダー

1999年(第51回) 英国アカデミー賞
最優秀イギリス映画賞授賞
最優秀主演女優賞授賞 ケイト・ブランシェット
最優秀撮影賞授賞 レミ・エイドファラシン
最優秀メイクアップ賞授賞 ジェニー・シャーコア
最優秀楽曲賞授賞 デヴィッド・ハーシュフェルダー
その他、7部門ノミネート

1999年 ゴールデン・グローブ賞
最優秀主演女優賞(ドラマ部門)授賞 ケイト・ブランシェット

<DATA>

 16世紀イングランド。 3歳で私生児の烙印を押され、21歳で反逆罪に問 われロンドン塔に幽閉される。
 そして25歳で史上二番目のクイーンに即位。
 渦巻く権力闘争と血塗られた宗教争い・・・。
 全ヨーロッパを敵に回す中で、男を愛し、傷つき、愛を脱ぎ捨て、女をそして人間を超えた存在<ヴァー ジン・クイーン>となったエリザベス。
 彼女の壮絶な生きざまを描いた愛と激動の2時間 04分!

 英国王ヘンリー8世と、その愛人アン・ブーリンの間に生まれたエリザベス。
 腹違いの姉、メアリー女王の死後、弱冠25歳でイングランド女王に即位。
 側近のウォルシンガ ム、セシル、ノーフォーク卿でさえも誰が敵か味方か分からない中で、唯一彼女の心 の支えになっていた恋人のダドリー。
 王室のスキャンダルの的となりながらも、毎晩逢い引きを重ねる中で、国内の宗教争いは激化し、イングランド史上最大の危機に直面する。
 エリザベスを失脚させようと、時の権力者ローマ法王を始め、全ヨーロッパから忍び寄る暗殺司令と陰謀の影―。
 その計画の中に恋人のダドリーも加わっているという衝撃の事実を知る。
 自分の家来やヨーロッパ中に敵を作りながらも優れた判断力と英知で国を建て直そうとしたエリザベスだったが、無益な戦いで国民が傷ついていくのを目の当たりにした彼女は、ある決意をする・・・。

 爛豪華な世界の中で、ハリウッドのアクション大作を凌ぐ迫力の映像が展開! 女王エリザベスには、ゴールデングローブ賞他各賞を総なめにし、あのブラッド・ピットも大絶賛した新星ケイト・ブランシェット。
 その他、恋人のダドリーに「恋におちたシェイ クスピア」のジョセフ・ファインズ、「恋におちたシェイ クスピア」、「シャイン」のジェフリー・ラッシュ、「ドーベルマン」の ヴァンサン・カッセル、トリュフォー作品で知られるファニー・アルダンら、実力対決も見物。
 監督は本作で世界的な注目を浴びた「女盗賊プーラン」のシェカール・カプール。
 全てのルールを破り、世界の映画賞、堂々16部門を受賞した革命的映画がいよいよ 公開される。 (オフィシャル・サイトより)

 

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