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映画『熊座の淡き星影』 姉弟相姦、デカダンはここから始まる

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映画『熊座の淡き星影』  VAGHE STELLE DELL' ORSA

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ヴィスコンティの後期の作品への転換となる

人間の果てしない欲望、美しい姉弟の禁断の愛を描いてみせる。
禁断の愛を巡る、その時点の嫉妬や過去の嫉妬、そして父の思い出に対する思い。
人間の最も美しい筈の愛の形が、姉弟と言うものの結び付きで表された時、それは周囲の人々からは最も醜悪なものとして映し出される。

姉サンドラと弟ジャンニにとって、過去においての思いは美しいもので有ったに違いない。
サンドラにとっては、それは過去の話で、今においては忘れ去りたい思い出になっている。
しかしジャンニは今においても美しい思いなのである。
その違いは何か?そこに有るのは人と人との結び付きなのである、人は人との関係の中で生きていく。
姉弟は、父が母の密告によってアウシュビッツの収容所で死んでいったと言う思い出の中で、人との結び付きを拒絶した。
そのことが禁断の愛へと二人を走らせる。
時は経ち、姉は父の思い出をトラウマとしながらも新しい愛を見つけ、それに旅立とうとしている。
弟はトラウマを断ち切れず思い出として心にしまう、いや思い出の中に生きている。
そう過去と今が交差する、その時それは耐えきれない破綻を生み、そして弟は自らを滅ぼすしか選択肢はなくなっていく。

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ヴィスコンティのこれ以降の作品に見られる、過去と現代の悲劇がそこに現れている。
ここには、一つの夫婦、一つの姉弟、それを取り巻く小さな村の人々の物語である。
その中に見事なまでに、人間の本質、孤独と欲望、その先に有る破滅を描いてみせる。
そしてその映像はあくまで美しく、美しいからこそ、そこに映し出される人間の本性の醜さが浮き彫りにされていく。
クラウディア・カルディナーレが妖しいまでに美しい
野性的な美とミステリアスな表情・・・肉体的な妖艶さと幼さを感じさせる表情、大きく猫のような瞳、彼女をこれ程までに魅力的に描いた作品は他にはないだろう。

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映画『熊座の淡き星影』のデータ

VAGHE STELLE DELL' ORSA (SANDRA: OF A THOUSAND DELIGHTS) 105分 1965年 イタリア

監督■ルキノ・ヴィスコンティ
製作■フランコ・クリスタルディ
プロダクション・オーガナイザー■オスカール・ブラッツィ
原案■ルキノ・ヴィスコンティ
脚本■ルキノ・ヴィスコンティ/スーゾ・チェッキ・ダミーコ/エンリコ・メディオーリ
撮影■アルマンド・ナンヌッツィ
音楽■セザール・フランク
演奏■アウグスト・ドッターヴィ
編集■マリオ・セランドレイ
美術■アリオ・ガルブリア
衣装■ビーチェ・ブリケット
助監督■リナルド・リッチ

製作会社■ヴィデス
備考■白黒
日本公開■1982年11月
出演■クラウディア・カルディナーレ/ジャン・ソレル/マイケル・クレイグ/マリー・ベル/レンツォ・リッチ/フレッド・ウイリアムズ/アマリア・トロイアーニ

◆ヴェネチア国際映画祭 1965年
サン・マルコ金獅子賞授賞 ルキノ・ヴィスコンティ
チネマ・ヌオヴォ賞授賞 ルキノ・ヴィスコンティ

【解説】
 ギリシア悲劇の『エレクトラ』になぞらえた、この中部イタリアの古都が舞台の、貴族階級の孤児院の姉弟の禁断の愛を描いた作品は、ヴィスコンティの絢爛たるデカダン絵巻の後期作風への転回点ともなる重要作。主人公らはまだうら若き男女であり、「イノセント」の醜悪なまでの気高さを持つには至らないが、それでもここに描かれた貴族の滅びの美学は、作者の自らの出自に対する拘りと憐れみを存分に感じさせ興味深い。
 結婚まもない米国人の夫と共に、NYでの新生活を前に、故郷ボルテッラの実家を訪れたサンドラ(C・カルディナーレ)は、幼い時に父をアウシュビッツの収容所で亡くしていた。今や屋敷は再婚後、精神をおかしくした母(M・ベル)と義父(L・リッチ)のものであり、弟ジャンニ(J・ソレル)が肩身の狭い思いで彼らと同居していた。姉と彼との精神的絆は強固で、別々の寄宿学校にやられそうになった際も二人してそれを頑なに拒んだものだった。夫アンドルーは次第にその中に立ち入れないものを感じ始める。彼はまた、不仲の義父と姉弟の間をとりもとうとして失敗。置き手紙を残し、先にNYへと発ってしまった。弟は姉に兄弟愛以上の感情を持ち続け、それは今も変わらない。が、姉は弟の気持ちを振り切ってジャンニは衝撃を受ける。屋敷の一部を図書館として町に寄贈したことの返礼の、父の胸像の除幕式が執り行われ、サンドラが出席する一方、ジャンニは自室で服毒自殺を図り、既に事切れていた…。
 義父と母が密告して父を逮捕させた疑惑が作品を暗くミステリアスに縁取って、幻灯機で天井に映した星座--ちょっとしたプラネタリウムに、二人寝床の中で眺め入る…といった姉弟の幼少期の思い出が甘美に綴られるあたり、大変印象深い。映画データベース - allcinema より)

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