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映画『犬の生活』 チャップリン初期の転換期となった短編

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映画『犬の生活』 A DOG'S LIFE

犬の生活

チャップリン・スタイルが確立した作品

チャップリンの映画が本当に初期の頃から、少しずつ変わり始めた作品。
それまでドタバタ振りを見せて観客を楽しませる・・・だけの作品から、チャップリンらしい笑いに、貧しさや人間の夢や強さを表現し始めた作品。

そう、この作品には人の生活というものが描かれ始めている。
むしろ、人の生活を一匹の犬に投影することで、おもしろおかしく、実はそこに人間の悲哀を感じさせてくれる。
この映画では、その後の チャップリンの作品に色濃く出てくる特徴が、ふんだんに見ることが出来る。

チャップリン作品の集大成(と言っても、いつの作品もチャップリンは存分に見せてくれるけど)のような芸の数々。
映画は見せるもの、観客に動きを見せることで笑いや哀しみを感じさせる、そんな彼の芸がこの作品にも有ります。

有名な犬のしっぽでミルクをなめさせるシーン、笑いと共にそこには本当の貧しさ、最後の一滴まで大切にする知恵、そこがチャップリンらしい。
笑いの中に人間の生活が見えてくる。
食事もままならず、盗んだソーセージを自分がお腹が空いているのに、しっぽを振る犬にあげてしまう。そこに見るチャップリンの優しさ、彼の根底には強き者を挫き弱き者を助ける、本当の優しさがそこには存在します。
この作品には、既に彼のその後の作品『独裁者』や『殺人狂時代』の根底に流れるものが有るのです。

今回のこの作品、パイオニアから発売されているDVDでの鑑賞。
最初に公開されたものに、後にチャップリン自ら音楽を付けたもの。
チャップリンの才能は、サイレントからトーキーの移行の中で、音というものまで見事に演出している。 ドラマチックな迄の音楽、これもチャップリン自身が作曲、本当に多彩な芸術家である。

Reviewed in 09.2000

ちょっと補足

テレビで見た外国映画で、意識して見たのはチャップリンが初めてである、ちょうど小学生低学年の頃。
何故か?というと同級生のお兄さんが聴覚障害者で、よくチャップリンを一緒に見たからだ。
セリフがないのに誰でも笑うことのできる映像、現代の日本のテレビ界を見れば考えられないことだと思うし、当時としても驚きがあった。

チャールズ・チャップリンは映画の創世記に現れた天才児(本来は努力の人だが)で、映画の本質を理解して最後までトーキー化(セリフを喋る映画)に抵抗し続けた映画人である。

この作品はそんな初期のドタバタ喜劇で笑わせるだけではなく、悲哀もセリフを語らせることなく映像だけで表現してしまった作品。

映画『犬の生活』のデータ

A DOG'S LIFE 30分 1918年 アメリカ

監督■チャールズ・チャップリン
製作■チャールズ・チャップリン
脚本■チャールズ・チャップリン
撮影■ローランド・トサロー
助監督■チャック・ライズナー
出演■チャールズ・チャップリン/エドナ・パーヴィアンス/トム・ウィルソン/シドニー・チャップリン/ビリー・ホワイト/アルバート・オースチン/ジェームズ・T・ケリー/チャック・ライズナー/ヘンリー・バーグマン

<DATA>

 浮浪者チャーリー(チャールズ・チャップリン)は生活のため職安に出かけるが、周りの連中との競走に敗れ、職は決まらずじまい。
 ふて腐れる彼の前にやがて野良犬同志のケンカが始まる。
 その中でやられそうになっている一匹の犬に自分と同じ姿を見出したチャーリーは、矢も楯もたまらずその犬を助け出し、以後彼と犬との共同生活が始まって行く・・・。

 比較的初期のチャップリン映画だが、ドタバタ喜劇の中に貧窮のつらさをにじみ込ませる辺りなど、笑いにペーソスを織り込む独自の作風はこの作品で誕生したと言われている。
 その意味で、後年の諸名作の原典と言っても差し支えはないだろう。
 後に音楽(勿論作曲は彼自身)を付け加えたサウンド版が作られているが、ここでもオープニングを悲劇的に盛り上げたり、又犬を助け出すシーンでの効果的な使い方などに、“音楽とアクションがコミックです”という彼の信条が伺え、興味深い。 <allcinema

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