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映画『海賊とよばれた男』 モデルは出光佐三、ビジネスの成功の秘訣

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映画『海賊とよばれた男』

戦う理由は、未来にある――。

事業は「いっちょやってやろうやないか」の精神が大事!

「いっちょやってやろうやないか」は主人公・国岡鐡造の言葉。

この作品は、最近(2016年12月)、昭和シェル石油との合併話で創業家と経営陣が対立している出光興産の創業者・出光佐三の逸話をベースに、百田尚樹が小説化、山崎貴監督が映像化したものだ。

これは『永遠の0』のトリオ、原作・百田尚樹、監督・山崎貴、主演・岡田准一が再度タッグを組んだ形、まぁ~柳の下のどじょうは何匹いるか?だけど。

この作品は、山崎貴監督が脚本・演出・VFXを担当しているだけあって、作品の質も高く戦禍で廃墟と化した東京の街も見事に映像化されている。
大画面で観るだけの価値のある作品でもある、そしてこの作品を見て改めて2つのことに気付くことができた。

その一つ目は、百田尚樹と言う作家としての才能に驚かされる、主人公の経営者としての描写が素晴らしく日本人に勇気を与えてくれることだ。
日本が敗戦から立ち直って、石油メジャーに戦いを挑み生き残ってきたことは、主人公の精神、自ら先頭に立って汗を流し、社員と運命を共にして、リスクを背負って事業を推し進めていく姿にある。
そこには理想のリーダー像が描かれている。

現代の日本でも成功しているベンチャーの社長たちの精神も「まずやってやろう」と言う精神があると思う。
自分でまず行動をとって、出口を決めてそこまで徹底的に突き進むことがビジネスの成功の秘訣。
成功のための手法はないが、秘訣としたら”行動すること”しかない。
行動するためには”高い理想”が重要、高い理想に突き進む人を見ると人は付いてくる。

ビジネスマンには原作は必読の書・この作品は必見の映画と言える。

国威発揚の物語として

たびだひ「戦場にいたことに比べれば、こんなこと大したことありません!」的なセリフや戦場で亡くなった人への敬礼と言った部分が多数出てくる。

海賊というのも”武士の精神”の延長の言葉として使われていたし、戦前に有った日本人の精神性は素晴らしい、日本が戦後復興したのはそう言った精神性の延長上にある、と言った節が散見される。

個々のエピソードが感動的であり、自分も日本人である以上、日本の独立性も含めて共感できる部分が有ったが、私にとっての違和感は「第二次世界大戦の敗戦をいつまで引きずるのか?」と言う点であることが判った。

『永遠の0』に対して、宮崎駿監督が苦言を呈したのは、この部分だったということに気付いた。
私は戦争を仕掛けた日本人はその”業”を背負っていくべきと考えている、だからと言って後ろ向きになる必要はない。

戦没者に対して哀悼を持つことも、日本のために戦った一兵士たちの命に敬意を表することも必要だと思う、と同時に戦争を起こしたことの”業”を背負うべきと考えている。
『風立ちぬ』や『この世界の片隅に』に有って、『永遠の0』や『海賊とよばれた男』には無いものだった。

イギリスのフリーゲート艦に一歩引かない堤真一演じる艦長の姿を見て感動するのと、ハリウッド映画『エアフォースワン』のハリソン・フォード演じる大統領が活躍するのを見て拍手喝采するのは、ある意味同じで気持ち良いものであるが、日本人としては常に背負っているものがあるという想いは持ち続けたい。

私的『海賊とよばれた男』

① テーマが有るか?共感できるか?

上記の2つのテーマについて考えさせられて、ある意味、非常に見て良かった作品。

ビジネス成功の秘訣と言う意味では、非常によく出来た作品で勇気がもらえる。

私個人は敗戦を否定するつもりは無く、最近再見した東野圭吾原作の『手紙』でも、強盗殺人犯の家族(作品では弟)はその罪を背負いつつ、前向きに生きていく姿が描かれていた。
一方的な戦前を賛美するような表現には違和感を感じた、それを気付けた意味は大きい。

② 作り手の強い意思を感じるか?

映画『永遠の0』よりも、より百田尚樹の原作の意図が鮮明に出ている分、非常に作り手の強い意志を感じるが、それは映画の監督や製作者の意図なのかは不明。

③ 俳優の意思や演技力が伝わるか?

岡田准一は『永遠の0』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した、それ以上に老けた時の演技に力が入っていた、今回もアカデミー賞あるかな?と思わせてくれたけど、2度目は流石にハードルが上がってる気もする、熱い男は感じるけど、ある意味大仰な演技とも言える。

染谷将太演じる主人公の右腕役だが、他が老けていくのに彼だけ若いままだったのは何か意図が有るのかな?

それにしても、綾瀬はるかが、ゲスト出演のような扱いなのがもったいない。
家族的な経営を支えた女性と言う立ち位置だと思うが、登場シーンが少なく判りにくい。

④ 映画らしい楽しさが備わっているか?

戦前・戦中・戦後と言う時代の荒波を映像化すると言う壮大な事業は、映画ならでは。
白組のVFXは流石で、陳腐さを感じさせない映像。

⑤ エンターテイメント性

映画を観た人に「勇気」や「自信」を与えてくれる、魂が揺さぶられる感動もある作品
物語の展開も大きく、その映像の素晴らしさと共に、エンターテインメントの山崎貴監督!と言える作品に仕上がっている。

⑥ 演出が素晴らしいか?

山崎貴監督は蛇足が好きな監督なんだと思う、『永遠の0』でもラストの回想的に登場人物が次から次へと出てきて零戦が現代を飛び去るシーンとか、今回はラストに門司沖に船で乗り出すシーンは余韻を残すためにやっているのか、個人的には要らない気がする。

またこれは個人的な思想の問題でもあるけど、船員にバンザイをさせるシーンが有るが、より感動的にするためなのか、国威高揚のためにあるのか、やり過ぎ感が有った。
逆に、それが意図的なものかもしれないが。

⑦ 脚本が素晴らしいか?

残念ながら原作は読んでいないが、ダイジェスト版のような気がする。
主人公の人物像の深掘りがされていない点が気になる。

主人公にしても予告で「なぜ男は”海賊”とよばれたのか-」と強調しているが、海賊としての描写が少なく、違法スレスレの商売から日本国のために商売をすることになった心の変化が良く判らなかった。

描かれ方が少なかった綾瀬はるか演じる最初の妻が、またラストに話として出て来るが、主人公の妻への想いが判りづらい、何故なら、2番目?の妻との間には子供も作って幸せな家庭を作っている。
逆にここを削ってでも、他の駆け足の部分を丁寧に描いても良かった気がする。

⑧何度も見たくなるか?

ビジネスをやる上で勇気そしてやる気をもらえる作品、ビジネスマンは必見!
起業論の本を読む、高い起業セミナーに出るなら、この作品を観るほうがためになると思う。

でも、今話題になりつつある『この世界の片隅に』の真逆の作品。

映画『海賊とよばれた男』のデータ

上映時間■145分
製作国■日本
公開情報■劇場公開(東宝)
初公開年月■2016/12/10
監督■山崎貴
原作■百田尚樹 『海賊とよばれた男』(講談社刊)

脚本■山崎貴
撮影■柴崎幸三
特殊メイク■吉田茂正
美術■上條安里
衣裳■水島愛子
出演■岡田准一/吉岡秀隆/染谷将太/鈴木亮平/野間口徹/ピエール瀧/光石研/綾瀬はるか/堤真一/近藤正臣(特別出演)/國村隼/小林薫

(C)2016「海賊とよばれた男」製作委員会 (C)百田尚樹/講談社

公式サイトはこちら

【解説】

 百田尚樹の一大ベストセラーを「永遠の0」に続いて山崎貴監督、岡田准一主演で映画化した大作ドラマ。若くして石油業に乗り出し、欧米石油メジャーに果敢に立ち向かって激動の時代を駆け抜けた男の一代記を吉岡秀隆、染谷将太、鈴木亮平、堤真一、綾瀬はるか、小林薫をはじめとする豪華キャストの共演で描き出す。
 石油の将来性に目を付け、石油販売業を始めた青年、国岡鐡造。彼は“店員(従業員)は家族と同然”と店員との絆を大切にし、既得権益が強固な石油業界を相手に、破天荒な発想と行動力で販路を拡大していく。やがてその存在は石油メジャーも無視できないほど大きくなり、ついには石油の輸入ルートをすべて封鎖されるという絶体絶命の窮地に陥る鐡造だったが…。(allcinemaより)

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