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広瀬すずをアイコンにした岩井俊二の傑作! 映画『ラストレター』

私的『ラストレター』

テーマが有るか?共感できるか?

岩井俊二監督も私と同世代の50代、ある程度、人生の成功や失敗を通り過ぎてきた世代

主人公の一人、福山雅治演じる鏡史郎はかつての初恋の人を書いた小説で賞を取って以来、まともな小説が書けないでいるアラフィフ男です。
松たか子は、美しい姉の影に隠れて目立たない妹から、今は一人の平凡主婦として生活をしています。

人生の成功とは何だったんだろう、輝いていたと思っていた青春時代を「手紙」をキッカケに遡って行きます。
自分の青春時代は本当に輝いていたんだろうか?

たどり着いてみると、そこには様々な悲しみや後悔が存在していて、今の人生が最高とは言えないまでも、生きていること自体に意味があるのでは?と思わせてくれます。

戦争の時代・昭和から平和な時代・平成の未来を信じて生きてきた人々が、令和になり現実に直面します。
それが人生の一つの分岐点・50歳という年齢で。

作り手の強い意思を感じるか?

ある種、福山雅治演じる鏡史郎の妄想の物語でもあります。
後半に出会う、二人の広瀬すず(とだけ書きます)は、「純粋無垢な美少女」にしか写っていない。
広瀬すずの美しさ(美しく映像にする岩井俊二監督の手腕)は秀逸です、だからこそ成立する映画です。

一方で前半の松たか子のおばさんぷりと、広瀬すずに比べると、容姿的に劣る森七菜のピュアでそれでいて現実的な佇まいが、より印象的に写ります。

青春の思い出は美しい、でも時に残酷でもある、そう物語は語りかけてきます。
きっと鏡史郎に少しの「勇気」があれば、この物語はハッピーエンドだったんでしょう、ただ、鏡史郎はその勇気を"今"持とうとしているのが、この作品のメッセージではないでしょうか?

輝ける青春時代と平成がリンクして、将来の見えないアラフィフの鏡史郎の今が令和。
現代の日本でどう生き抜いて行くべきか・・・ほんの少しの希望から一歩前進していきます。

ラストレター

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