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広瀬すずをアイコンにした岩井俊二の傑作! 映画『ラストレター』

脚本が素晴らしいか?

現代と過去が複雑に絡み合っています、伏線の回収といった技術的な話以上に、過去の因果関係が現代に様々なことを及ぼします。

物語のスタートは、単なる人の勘違いから手紙を間違って送ってしまうところから始まります。
それは単なる序章に過ぎず、徐々に登場人物が交差していきます。

二人一役、一人二役が大きな意味があり、後半にサッと紐が解けていきます。
そう「姉がなぜ若くして亡くなったか?」という問いが。
誰も注目しなかった、おそらく癌とか、病気で若くして亡くなった姉・・・くらいに感じるでしょう。
観客の視点をいい意味で騙しています。

是枝裕和監督の『海よりもまだ深く』(2016)でも一発屋の売れない小説家が出てきて、母親のお金をアテにしている情けない男として描かれています。
是枝裕和監督の作品は家族へ回帰していきますが、岩井俊二監督は一人の思い出の女性とその残像を追いかけていきます。
作家・岩井俊二の本領といったところでしょうか。

何度も見たくなるか?

観終わった瞬間から、この複雑な物語をもう一度、伏線を解いてみたいという欲望に襲われます。
それと同時に、際立つ登場人物の個性が、もう一度確認したくなるのです。

この映画、手紙がモチーフになっていますが、現代ではSNSが発達しているにも関わらず、手紙のやり取りによる行き違い、勘違いが起こります。
これは『Love Letter』でもそうでした。

文字にすることで"言葉"の大切さを痛感させられます、そして伝わる想い、伝わらないまま後悔へと変わっていく想い。
それぞれの想いを持ったキャラクターに観客が惹かれていきます。

だからこそ、共感できる登場人物たちの生き様をもう一度、体験したくなるそんな作品なのです。

岩井俊二監督は、上記に書いたように様々な傑作を世に送り出してきましたが、私は声を大にして「この作品が岩井俊二の最高傑作」と言いたいと思います。

もちろん、この先、この作品を超えるものが出てくるかもしれませんが、この作品の価値は色褪せることはないでしょう。
今日は福山雅治演じる鏡史郎に共感をして、次は松たか子演じる裕里に共感したくなる、そんな作品です。

そして変えられない過去に思いを馳せながら、前に進む、何か行動を起こすことの勇気をくれる作品でもあります。

映画『ラストレター』のデータ

ラストレター

■監督・脚本・編集:岩井俊二
■原作:岩井俊二「ラストレター」(文春文庫刊)
■主題歌:森七菜「カエルノウタ」(Sony Music Labels)

■キャスト
松たか子 広瀬すず
庵野秀明 森七菜 小室等 水越けいこ
木内みどり 鈴木慶一/豊川悦司 中山美穂
神木隆之介 福山雅治

■公開日
2020年1月17日

■公開情報
全国東宝系にてロードショー

(C)2020「ラストレター」製作委員会

公式サイトはこちら

【イントロダクション】
いまだ読めずにいる
“最後の手紙”に込められた、
初恋の記憶-----------
日本映画史に残る、
珠玉のラブストーリーが誕生する。

【ストーリー】

 裕里(松たか子)の姉の未咲が、亡くなった。裕里は葬儀の場で、未咲の面影を残す娘の鮎美(広瀬すず)から、未咲宛ての同窓会の案内と、未咲が鮎美に残した手紙の存在を告げられる。未咲の死を知らせるために行った同窓会で、学校のヒロインだった姉と勘違いされてしまう裕里。そしてその場で、初恋の相手・鏡史郎(福山雅治)と再会することに。
 勘違いから始まった、裕里と鏡史郎の不思議な文通。裕里は、未咲のふりをして、手紙を書き続ける。その内のひとつの手紙が鮎美に届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎(回想・神木隆之介)と未咲(回想・広瀬すず)、そして裕里(回想・森七菜)の学生時代の淡い初恋の思い出を辿りだす。
 ひょんなことから彼らを繋いだ手紙は、未咲の死の真相、そして過去と現在、心に蓋をしてきたそれぞれの初恋の想いを、時を超えて動かしていく---------

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